VOL.3(2000年3月10日掲載)

●感動の初日(後半)
ディブと買い物に行った後オフィスに戻って、隣にあるCAFEにみんな集まり次週以降のゲームスケジュールが印刷された販促ハガキの仕分けをしました。大量のハガキに住所のラベルを貼って郵便番号別に分ける作業です。これはマイナー球団では頻繁にやります。送り先はシーズンチケット・ホルダー、ファンクラブの人、スポンサー関係など様々です。作業中はアメリカらしいというか、TVをつけてみんな大騒ぎしながらやっていました。彼等はいつもふざけて冗談ばかりで、そこには笑いが絶えません。女の子の話や、下ネタもしょっちゅうで、僕もよくからかわれました。いい意味でいいかげん、でも何に対しても前向きに、楽しく取り組もうとする姿勢は大いに見習うべきと思います。僕もお調子者なので、すぐに溶け込んでふざけていました。スタッフはいい奴ばかりで、とてもラッキーだったと思います。

試合開始前の風景
ざわざわした感じ、伝わります?

 夜は待ちにまったゲームです。スタッフのユニホームをもらった時は、何度もくり返しますが本当にうれしかったことを覚えています。初日は入場ゲートでチケット切りをしました。ゲームのことを簡単に説明すると、ほとんどがナイトゲームで夜7時過ぎに始まります。ヒッコリーのボールパーク収容人数は約5000人で、平均の観客数は2500人程(1Aとしては悪くない)でした。チケットは5〜7ドルと手頃で、小さな子供から年配の方までやって来ます。グッズもたくさんあります。HICKORYのロゴマークはかわいいタイプ(他のチームはかっこいい)。女性の客も大変多く、ルールも良く知っていて、平気で野次を飛ばす人もいます。ボールパークは人が集まる所という感じで、野球を見ないで遊んでいたり、酒を飲んで騒いだりする人も多く、街にとっては欠かせないものと言えるでしょう。

試合中に行うアトラクション
これは“スピードピッチ”

 余談ですが、試合前の国歌斉唱はいつ聞いても最高です。アメリカのボールパークはとにかく騒がしい。音楽、人、アナウンサー…。ところが、そのざわざわした雰囲気が一気に静まる。その時だけ、選手、ファン、スタッフ、すべての人間がひとつになる唯一の時間です。そしてまたざわざわしだす…。最高です。また、あの曲調がいいんですよね。マイナーリーグでは、ほぼ毎試合ファンやスポンサー関係者が1人選ばれ(たまに歌手やグループ)グランドに降りて、マイクをもって歌うのですが、面白いのは音痴な人が多い!その他、ノリに乗っちゃってやたら長く歌っている人とか。選手やお客さんなどけっこう笑っいて、それもまたマイナーリーグらしいです。

試合前の国歌斉唱
こうやって子供達も参加する
 さて、チケット切りですが、ここはお客さんの窓口ですし、笑顔で対応しようとなんとか頑張りました。“ENJOY!”とか“THANK YOU FOR COMING!”など声をかけるとほとんどが反応してくれて、こうやってコミュニケーションを取ることの楽しさや大切さを教えられました。  当然スタッフは試合をゆっくり見ることはできません。これは結構ストレスになります。音や歓声は聞こえてくるし、やっぱり気になりますから。他のスタッフは走り回って忙しそうでしたが、僕は初日なので試合の後半に時間が空いて、一番興味があった演出の部分、例えばプロモーション(イベント)や音響、スコアボードの映像のオペレーションなど少し見ることができました。メジャー、マイナーを含め試合観戦はいくつかしていたのでイメージはあるつもりでしたが、実際に運営する方に入ってみると「ああ、こうなっているんだ。」と勉強になることがたくさんあると感じました。特に音楽については、コンピューターを使い、効果音も含めて試合中何かしらずっと流しています。音を出すタイミングや曲の選択など、アナウンサーやスコアボードを操作する人との連係もあり、非常に興味深く、「来て本当に良かった。」と、早くも帰りたくなくなったことを覚えています。
 試合後はスイートルームなどの掃除です。アメリカ人はすごく汚すのでこれは大変です。最後の締めはスタッフ全員オフィスに集まりミーティング。なのですが、なんとビールを飲みながらやるからたまりません。カフェの生ビールが飲み放題。信じられない!ほとんどのスタッフが掃除のあとカフェに直行して自分のビールを用意し、オフィスに戻ります。酒好きの僕としてはラッキーというほかありません。

 静まったボールパークを横切って部屋に戻ると、時計は夜12時をとっくに回っていました。外野の芝生には無数のホタルが飛び回り、スタンドにはスカンクやウサギ、たぬきのような小動物がお客さんの残した食べ物を探して歩き回っています。
「こんな贅沢、もう一生できないんじゃないのかな。」と感じたことを覚えています。 とにかくシーズン終了迄しっかりやり切ろう、ここのスタッフ達に迷惑をかけないようにと、そればかり考えていました。
喜びとやる気に溢れた初日はあっという間に過ぎていきました。

試合中のスタッフ達
アナウンス、音楽、スコアボードを担当

僕が住み込んだクラブハウス

マイナーリーグ球団職員体験記
【VOL.1 はじめに】
【VOL.2 渡米までの過程など】
【VOL.3 感動の初日(後半)】
【VOL.4 現地での生活】
【VOL.5 オールスターゲーム】S
【VOL.6 遠征行きました!】
【VOL.7 プロモーション その1】
【VOL.8 プロモーション その2】

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