VOL.2(2000年2月1日掲載)

●渡米の理由
マイナー球団に行った理由は2つあります。ひとつはアメリカ野球が大好きで、マイナーリーグで働くことが学生時代からの夢であったこと。もうひとつは将来日本の球団に入って活躍したいという気持ちから、日本の球団と違って独立採算性で運営しているマイナー球団で勉強、経験することが必ず役に立つと思ったからです。具体的にはプロモーション(イベント)、音響、映像などの演出部分と球団の収支の仕組みについてです。 実際今回の渡米は夏の間だけの短い期間でしたが、僕が予想したよりもはるかに多くのことを学ぶことができました。
1999年の夏は僕の一生のなかで、「いちばん最高の夏」に違いないと思っています。

CRAWDADSの本拠地 L.P.FRAN STADIUM

●マイナーリーグとは
右の表を見て、アメリカ野球のメジャーを含めた球団数とリーグの多さにビックリする人も多いのではないでしょうか。ランクについては、日本は1軍、2軍の2つですが、アメリカはメジャーの下に3Aから1A、ルーキーリーグまでざっと6つに分かれています。さらにもうひとつ大きな違いがあって、それはほとんどのマイナー球団は、日本のようにメジャー(プロ)球団が運営しているのでなく、個々に各球団が自分達でチケットを売ってファンを獲得し、ボールパークを管理するといった独立採算制をしいている点です。要はメジャー球団から選手、監督等を借り、ボールパークを使ってゲームを行うという言い方ができると思います。そのボールパークも実に味のある素晴らしいものばかりです。 試合数は3A〜1Aで、なんと年間140試合以上をこなし、これは日本の1軍よりも多い!それも4月から始まって、9月の第1週にはシーズンは終わります。また各リーグともオールスターゲーム、プレイオフもあるんです。 僕が所属した「ヒッコリー・クラウダッツ」は1A・サウスアトランティック・リーグ(東南部地域・計14球団所属)のチーム(メジャー球団ピッツバーグ・パイレーツ傘下)です。ヒッコリー市はまわりの郡を含めて人口約12万人。ちなみに私が住んでいる千葉県市川市は約45万人です。マイナーリーグでは多くの球団がこのような小さな街に存在しています。この小さな街でなぜ年間140試合以上のプロ野球が成り立つのか、それもマイナーリーグが・・・  この独立採算制こそ僕がどうしても見たかったものでした。
日米の球団数とリーグ数(2000年)
日本 アメリカ
メジャー
(プロ)
12(2) 30(2)
マイナー
(2軍)
12(2) 182(16)
※( )はリーグ数


レフトフェンスになびく旗。
国旗、市旗にパイレーツの旗も見える。

●感動の初日(前半)
6月9日にノースカロライナ州、シャーロット空港に深夜到着すると、そこにはゼネラルマネージャー(以下GM)のディブ・ハスとディブの友達で日本語が達者なブラジル出身のロナルドが迎えにきてくれていました。このディブは私の夢を叶えさせてくれた張本人で、本当にお世話になりました。かっこよくて、頭もいいし、一般のアメリカ人のイメージと違ってあまり喋らない、まさに男が男に惚れるという人でした。 その晩はディブの家に泊まりました。夜中にTVでメジャーリーグを見たり、部屋にたくさんおいてあるサインボールや野球の雑誌、CAPを見ながら、本当にアメリカに来たんだと、うれしくて長旅の疲れも感じずに遅く迄起きていました。
スタッフのみんな。手前中央がGMのデイブ
翌日ディブと一緒にボールパークへ行きました。前の年に一度訪問しているので、ボールパークに近づくにつれてそのことを思い出し、信じられない気持ちでした。ボールパークは緑の芝がとてもきれいで、それを眺めているだけでも幸せな気持ちになれます。オフィスは一塁側後方に位置し、まずそこに行きました。ディブがみんなに紹介してくれていよいよスタッフの一員としてやっていくんだと、最高の気分でした。スタッフは全部で13名。背の高さはそんなに変わらないのですが、やはり体つきが全く違く、しかし逆にそれがアメリカを実感させ、なぜか嬉しく感じました。
最初の仕事は前日の雨の為に内野から外野にかけて覆っている巨大な雨よけのシート(以下英語で“タープ”)のかたずけでした。天然芝の球場なので天気があやしくなるとこの“タープ”をかけなくてはいけないのです。ちなみにこの日はすっかり晴れあがっていました。全員裸足になってフィールドに降りましたが、僕はやっぱり日本人、フィールドに降りる時「ホントにいいのかよ?」と少しためらった気がします。野球好きなら分かると思いますが、あの美しい緑の芝にどれ程の憧れがあるか・・・それにボールパークはどこか神聖な場所みたいな、ちょっと宗教じみた思いがあるからでしょうか。
これが“タープ”
フィールドに入ってみると、その芝はじゅうたんよりも柔らかく、ふんわりして、まだ芝に残っている雨水が最高に気持ちよく足をぬらしてくれて、あの感触は一生忘れません。ある意味で僕にとって、この瞬間が最も思い出に残っているシーンになっています。 ところでこの“タープ”引きですが、ハンパな作業ではありません。“タープ”の上に雨水が残っていてとにかく重い!おまけにタープが蒸れているから、凄く臭い!沼の匂いといえば分かりますか? この“タープ”引きは、最初の頃は「これがアメリカ野球だ!」と、楽しかったのですが、どしゃぶりの雨の中でやったり、1日に何度も引いたりしまったりしたこともあり、ついに唯一嫌いな作業になっていました。
この後ディブと、電子レンジや食材などを買いに出かけました。今となっては懐かしい大量(100枚くらい?)にパックされたチーズやハムは約3ドル。アメリカの買い物はこれだから楽しい!大好物はシリアル。たくさんあるなかで一番好きなやつはケロッグの「MINI WHEAT」で、これは毎朝食べました。二日酔いでもこれで元気が出ちゃうほどうまかったです。早く日本に入ってこないかと楽しみにしてるんですが。
L.P.FRAN STADIUM 手前はオフィスとカフェ
スタッフルームでデイブと
マイナーリーグ球団職員体験記
【VOL.1 はじめに】
【VOL.2 渡米までの過程など】
【VOL.3 感動の初日(後半)】
【VOL.4 現地での生活】
【VOL.5 オールスターゲーム】S
【VOL.6 遠征行きました!】
【VOL.7 プロモーション その1】
【VOL.8 プロモーション その2】


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