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 Vol.46
/2002.4.4更新
『ニュー・ハンプシャーの魂』の巻
 一編の小説、一本の映画、そんなたったひとつのものから受けた強烈な印象で、その地のイメージを作り上げてしまっている………皆さんにはそんなことありませんか?たとえば、ボクの場合、ベトナムには行ったことがないけれど、それは“地獄の黙示録”や“プラトーン”なわけです。だから、ジャングルにナパーム、ヘリコブターとストーンズ……それがボクのベトナムで、市街地なんて存在しないことになってしまっています。たとえば、アイオワ。これは何をおいても、小説“シューレス・ジョー”であり、映画“フィールド・オブ・ドリームス”なわけで、「もうあの風景しかありえない、アイオワに高層ビルがあるわけない」と思ってしまっている。いや、実際に、何度か行きました。アイオワの州都デモイン。あるいは、その周辺の都会。ビル、濫立してます。ハイウェイ、交差してます。なのになのに、あぁ、なのに!!ボクの感覚では、そこはアイオワじゃないことになってしまっているわけです。「ここは、また別の場所。アイオワはとうもろこし畑と夢のフィールド、あそこだけ」だという決めつけ。それが、ニュー・ハンプシャーの場合は、一層強いものになります。御存知、ジョン・アーヴィングの傑作小説“ホテル・ニューハンプシャー”と、それを映画化した“ホテル・ニューハンプシャー”。もうこのふたつによって、ボクの頭の中に、ニュー・ハンプシャー州は構築されてしまっているんです。だから、そこに車で乗り込んだ時も、それらが生み出した、奇妙な人間模様(ホテル経営に乗り出す夫婦と、5人の子供たち-ホモ、小人症、難聴、愛しあう姉弟、そして、老犬、熊)に似合わない景色は、ニュー・ハンプシャーじゃないんだとばかりに、美しい自然よりも、傷付き加減の光景を探していました。ニュー・ハンプシャーに生まれ、ニュー・ハンプシャー大学に学んだジョン・アーヴィングにしか書けない、悲しく美しいおとぎ話のかけらを見つけようと………そして、ある時、ふと、前を走っている車のカーナンバープレートを見た時、ハッとしてしまったのでした。そこには(後で、この州のモットーだと知った)こんな言葉があったからです。『LIVE FREE OR DIE』。自由に生きるか、死ぬか。

文・写真/東野hoboひろあき


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