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 Vol.23/2001.10.15更新
『曲×オルガン−私+雰囲気では?』の巻
 アメリカン・ベースボールの魅力的要素で、日本野球ではあまり重視されないもの………それは“匂い”と“音”です。ピクニック・エリアがあるから、バーベキューの焼ける匂いがしますし、鳴りものドンドンの応援団がいない代わりに、プレイの音と音楽に一喜一憂させられます。音楽というのは、ゲーム開始前のフィールドに流れるヒット・チューンの数々や、イニング間をも飽きさせないツボを心得た選曲のことです。定番がいくつもあって、ジョン・フォガティーの『センターフィールド』、ローリング・ストーンズの『スタート・ミー・アップ』、ヴィレッジ・ピープルの『YMCA』なんかは頻繁に耳にします。『A列車で行こう』はニューヨークで、『テイク・イット・イージー』は西海岸で、それぞれハマる曲であるように、街によって、観客が一層思い入れを持っている定番があるはずです。それらの軽快なリズムは、ゲームのテンポを上げてくれて、その役割は、決してBGMではなく、ベースボールをリードする主役と言ってもいいでしょう。『ロック・ユー』や『ワイルド・シングス』がないボールパークの淋しさは想像したくありません。
 さて、既製の曲を流すには、それはそれでセレクトするセンスとタイミングの良さが求められますから、誰でもが簡単にこなせるという仕事ではありません。選手の個性だけでなく、夕べ誰とどうしていたかまでも知っておいて、そこを踏まえて音を出す……それだけに、雇われ音効屋さんでは務まりません。ほとんどのチームに、正式な一員として、そのスペシャリストがいます。この写真は、デラウェア州のウィルミントン・ブルーロックスという1Aチームの音効ルーム。キーボードとオルガンとCDチェンジャーに囲まれて、年間約70ゲームを絶妙な音で飾ります。アメリカでは、シーズン終了後、最優秀オルガニストが選ばれる程、大切で尊敬されるこの仕事。報酬?……きっと安いでしょう。いや、もしかすると、本業と平行して、無償でやっているのかもしれません。今回は「大好き!」じゃなく「素敵!」ってことで。
『曲×オルガン−私+雰囲気では?』の読み方は
“曲かける、オルガン弾く私、足す雰囲気”です。

文・写真/東野hoboひろあき


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