2008年02月23日

保持船と避行船

イージス艦と漁船の衝突事故ですが、船舶免許を取ったばかりの私にとっては「恐いなぁ」と感じる事件です。とにかく、イージス艦は無茶苦茶です。

今回の衝突に関しては保持船と避行船という関係を理解しなければならないでしょう。
保持船? 避行船? 耳慣れない言葉だと思います。

車の場合、衝突しそうだと感じたらお互いが減速したりハンドルを切ったりすることもありますが、船が衝突するおそれのある場合には「海上衝突予防法」の「横切り船の航法」によって「保持船=針路と速力を保持する(変えてはならない)義務がある船」と「避行船=他船の針路を避ける義務がある船」にわかれます。
つまり、片方の船(保持船)は変針も減速も出来ないのです。
海にはセンターラインも決められた車線もないので、お互いが変針したり減速するとかえって衝突の危険があるからです。

どちらが保持船でどちらが避行船かは船の種類が同じ(もし漁船が漁労中ならば位置に関係なく漁船が保持船だが今回の場合は漁労中でないのでどちらも動力船という種類になります。大きさの違いは関係ありません。)の場合は右側にいるほう(相手に左舷を見せている船)が保持船です。
今回の場合は漁船が保持船でイージス艦が避行船です。
だから、漁船はイージス艦が避行してくれることを信じて自分の針路と速力を保持する義務があったのです。まっすぐ行かざるを得ません。それが法です。

夜の場合、相手の船が右舷を見せているか左舷を見せているかは灯火の色で判断します。
船の灯火は右舷に緑、左舷に赤がついています。
相手の船を見つけたとき、緑の灯火が見えれば「自分の船は相手の右舷側にいるので、こっちが保持船だ。このまま行かねば」と判断しますし、赤い灯火が見えたら「自分の船は相手の左舷側にいるのでこっちが避行船だ。減速か変針せねば」と思うわけです。

もし、避行船が適切な動作をしていない(避行しない)と感じた場合、保持船は疑問信号(短音5回の汽笛)を鳴らすことになっています。
でも、やはりそれでもむこうが避行しない場合は衝突を避けるための行動をとるのですが、その場合も「やむを得ない場合以外は左転禁止」のルールがあります。右転しかできないのです。これは、左転すると、避行船が右に避行したら正面衝突するし左に避行しても接触するからです。

他の漁船の証言を聞くと、漁船群はあきらかに保持船の位置だったので決まり通り保持する義務を遂行していたに違いありません。もちろん疑問信号も鳴らしているでしょう。さらに衝突された漁船は最後に右に変針しています。まったくもって正しい操縦です。ある意味(ちょっと言葉が悪いかもしれないですが)スゴイです。この状況で、すべてを正しく判断して行動しています。ところが…。結果は…。
正しいことを正しくして被害にあう。
ひどすぎます。

イージス艦が「緑の灯りを見た」と言う証言をしているのは「自分は保持船だった」と言いたいわけです。
でも、それはどーやら、やむを得ず回避した別の漁船の灯火だったようです。

投稿者 fujiwara : 2008年02月23日 18:56

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